2つ以上の生薬の組み合わせでできている「漢方薬」
私たちがふだん、病院やクリニックなどで処方されて飲む薬(西洋薬)の多くは、基本的に単一成分でできています。一方、漢方薬は、天然物である植物や鉱物などの生薬(しょうやく)を2つ以上組み合わせて作られています。
たとえば、こむらがえりなどに用いる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)という2つの生薬の組み合わせでできていますし、病気をした後の体力回復などに用いる十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、黄耆(おうぎ)、桂皮(けいひ)、地黄(じおう)、芍薬(しゃくやく)、蒼朮(そうじゅつ)、川きゅう(せんきゅう)、当帰(とうき)、人参(にんじん)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)という10もの生薬で作られています。
何千年という長い年月をかけて行われてきた治療の経験によって、どの生薬を組み合わせるとどんな効果が得られるか、また身体に悪い影響はないかなどが確かめられて、漢方処方として体系化されました。
漢方薬は、複合成分であるために、作用の仕組みが解明しづらいのが難点でしたが、最近はその効果について、少しずつ解明が進んでいます。
日本には、小さく刻んだ生薬を煎じて飲む伝統的な煎剤もありますが、一般的な医療現場で使用される漢方薬は、エキス剤と呼ばれるものです。エキス剤は、煎じ薬を濃縮、乾燥させて粉末化したものです。携帯しやすく、飲みやすいというメリットだけでなく、生薬が天然であるがゆえの「品質のばらつき」や「変質」といった問題も解決することができます。1976年以降は病院で処方される漢方薬に健康保険が適用されるようになり、現在は148種類がその対象となっています。
- 参考
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- 漢方薬はこんな薬です│ツムラ<2020年12月15日閲覧>