当帰(とうき)
基原
セリ科(Umbelliferae)のトウキAngelica acutiloba Kitagawa又はその他近縁植物の根で通例、湯通ししたもの
主な薬理
当帰は、婦人病に適応される温経湯、加味逍遙散、当帰芍薬散や、病後の体力低下、疲労倦怠を主訴とする補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯に配合される生薬です。
当帰単独では、以下に示す末梢血管拡張作用、血液凝固抑制作用、免疫賦活作用が報告されています。
活性成分
- [鎮痛作用]4)
- ファルカリンジオール(farcalindiol),ファルカリノロン(falcarinolone)
- [抗炎症作用]4,5)
- シトステロールグルコシド(β-sitosterol-D-glucoside)
- [中枢抑制作用]6)
- リグスチリド(ligustilide),ブチリデンフタリド(butylidenephthalide)
- [向精神作用]7)
- リグスチリド(ligustilide),ブチリデンフタリド(butylidenephthalide)
- [凝固,線溶系への作用]8)
- 当帰水製エキス
- [血小板凝縮阻害活性]9,10)
- リグスチリド(ligustilide),ブチリデンフタリド(butylidenephthalide)
- [免疫系への作用]2)
- アラビノガラクタン(arabinogalactan)
- [抗腫瘍活性]3,11,12,13)
- ペクチン様多糖体(pecticpolysaccharide)
- [T細胞活性化,抗体産生能増強]14)
- 当帰水製エキス
- [抗アレルギー作用]15)
- 当帰水製エキス
- [子宮に対する作用]16)
- フェルラ酸(ferulicacid)
- [癌毒素の脂肪分解促進作用]17)
- ガラクトグルカン(galactoglucan)
- [放射線防御効果]18)
- メタノールエキス
引用
1) 飯島宏次ら:日薬理誌,44,509(1974).
2) Y.Kumazawa,et al. :Immunology,47,75(1982).
3) H.Yamada,et al. :Planta Medica,50,163(1984).
4) 田中重雄ら:薬学雑誌,91,1098(1971).
5) 林 元英ら:日薬理誌,73,205(1977).
6) H.Mitsuhashi,et al. :Chem. Pharm. Bull.,8,243(1960).
7) 渡辺裕司ら:和漢医薬学会誌,8,102(1991).
8) 小菅卓夫ら:薬学雑誌,104,1050(1984).
9) K.Toriizuka,et al. :Pharmaceutical Bull,34,5011(1986).
10) M.Shimizu,et al. :Pharmaceutical Bull,39,2046(1991).
11) H.Yamada,et al. :Planta Medica,56,182(1990).
12) 木島孝夫ら:薬学雑誌,109,843(1989).
13) T.Okuyama,et al. :Shouyakugaku Zasshi,44,346(1990).
14) Y.Kumazawa,et al. :Planta Medica,51,417(1985).
15) 江田昭英ら:日薬理誌,109,843(1989).
16) M.Harada,et al. :J. Pharm Dyn.,7,304(1984).
17) 奥田拓道ら:日本公開特許公報 昭60-28993.
18) 太田節子ら:薬学雑誌,105,874(1985).
19) I.Saiki,et al. :Chem.Pharm.Bull.,47,1170(1999).
当帰(とうき)が使われる代表的な漢方処方
- 乙字湯(おつじとう)
- 消風散(しょうふうさん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 七物降下湯(しちもつこうかとう)
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- 潤腸湯(じゅんちょうとう)
- よく苡仁湯(よくいにんとう)
- 疎経活血湯(そけいかっけつとう)
- 抑肝散(よくかんさん)
- 五淋散(ごりんさん)
- 温清飲(うんせいいん)
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
- 五積散(ごしゃくさん)
- 帰脾湯(きひとう)
- 女神散(にょしんさん)
- 四物湯(しもつとう)
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
- きゅう帰膠がい湯(きゅうききょうがいとう)
- 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
- 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
- 当帰飲子(とうきいんし)
- 清肺湯(せいはいさん)
- 滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
- 滋陰降火湯(じいんこうかとう)
- 大防風湯(だいぼうふうとう)
- 当帰湯(とうきとう)
- 通導散(つうどうさん)
- 温経湯(うんけいとう)
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
- 猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)
- 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
- 清暑益気湯(せいしょえっきとう)
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
- 紫雲膏(しうんこう)