大棗(たいそう)
公開日:2010.06.30
カテゴリー:生薬辞典
基原
クロウメモドキ科(Rhamnaceae)のナツメZizyphus jujuba Miller var. inermis Rehder又はその他の近縁植物の果実
主な薬理
大棗は、胃腸疾患に適応される六君子湯や、夜泣き、ひきつけを主訴とする甘麦大棗湯に配合される生薬です。
大棗単独では、以下に示す抗潰瘍作用、抗ストレス作用、鎮静作用が報告されています。
活性成分
- [抗アレルギー作用]4-6)
- PCA反応抑制エチル-α-D-フルクトフラノシド(ethyl-α-D-fructofuranoside,エタノール熱浸時の副生成物),抗補体活性ジジフスペクチンA(zizyphuspectinA),ジジフスアラビナン(zizyphusarabinan)
- [睡眠延長作用]7)
- リジカミン(lysicamine),ノルヌシフェリン(nornuciferine)
- [その他]
- 大棗の生薬エキスは、抗潰瘍作用8) 、抗ストレス作用9)、さらに末梢血や白血球内のcyclicAMP※を増加させること2)が報告されています。
※cyclicAMPは、cyclicGMPとともに生体内の重要なセカンドメッセンジャーであり、その調節異常がアレルギー疾患、内分泌異常、神経性疾患の発現、増悪に重要な役割を果たしています10)。
引用
1) 友田正司:現代東洋医学,5,47(1984).
2) K.Hanabusa,et al. :PlantaMedica,42,380(1981).
3) J.C.Cyong,et al. :Proc.Symp.WAKAN-YAKU,15,150(1982).
4) 八木 晟ら:薬学雑誌, 101,700(1981).
5) 丁 宗鉄:現代東洋医学,5,42(1984).
6) H.Yamada,et al. :CarbohydrateResearch,144,101(1985).
7) B.H.Han,et al. :Arch.Pharm.Res.,10,208(1987).
8) 山原條二ら:生薬学雑誌,28,33(1974).
9) 佐々木健郎ら:第46回日本東洋医学会学術総会,182(1995).
10) 丁 宗鉄:漢方医学,6,1(1982).
大棗(たいそう)が使われる代表的な漢方処方
- 葛根湯(かっこんとう)
- 葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
- 大柴胡湯(だいさいことう)
- 小柴胡湯(しょうさいことう)
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
- 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
- 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
- 麦門冬湯(ばくもんとうとう)
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 六君子湯(りっくんしとう)
- 桂枝湯(けいしとう)
- 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
- 五積散(ごしゃくさん)
- 炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
- 帰脾湯(きひとう)
- 参蘇飲(じんそいん)
- 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
- 柴陥湯(さいかんとう)
- 四君子湯(しくんしとう)
- 平胃散(へいいさん)
- 清肺湯(せいはいさん)
- 柴朴湯(さいぼくとう)
- 大防風湯(だいぼうふうとう)
- 黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
- 小建中湯(しょうけんちゅうとう)
- 小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)
- 柴苓湯(さいれいとう)
- 胃苓湯(いれいとう)
- 黄連湯(おうれんとう)
- 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)
- 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
- 桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
- 加味帰脾湯(かみきひとう)