柴胡(さいこ)
基原
セリ科(Umbelliferae)のミシマサイコBupleurum falcatum L. 又はその変種の根
主な薬理
柴胡は、肝障害や炎症を主訴とする小柴胡湯や、精神不安を主訴とする柴朴湯、加味気脾湯や胃腸炎を主訴とする柴苓湯に配合される生薬です。
柴胡単独では、以下に示す肝障害改善作用、抗炎症作用、中枢抑制作用が報告されています。
活性成分
- [中枢抑制作用]2)
- 粗サポニン分画
- [抗炎症作用]3-7)
- サイコサポニン(saikosaponina,d)粗サポニン分画
- [肝障害改善作用]8-16)
- サイコサポニン(saikosaponina,b,c,d)
- [免疫に対する作用]17-19)
- サイコサポニン(saikosaponina,c,d)
引用
1) 太田茂樹ら:植物研究雑誌,61,212(1986).
2) 柴田 丸:代謝,10(臨時増刊) ,687(1973).
3) K.Takagi,et al. :YakugakuZasshi,89,1967(1969).
4) M.Yamamoto,et al. :Arzneim.Forsch.,25,1021(1975).
5) M.Yamamoto,et al. :Arzneim.Forsch.,25,1240(1975).
6) 阿部博子ら:日薬理誌,80,155(1982)
7) 加藤正秀ら:薬学雑誌,103,466(1983).
8) 有地 滋ら:肝臓,19,8,(1978).
9) 有地 滋ら:薬物療法,10,71(1977).
10) 山本昌弘ら:Proc. Symp.WAKAN-YAKU,14,16(1981).
11) 山本昌弘ら:Proc. Symp.WAKAN-YAKU,16,245(1983).
12) H.Abe,et al. :PlantaMedica,40,366(1980).
13) M.Yamamoto,et al. :日生病院医学雑誌,22,138(1994).
14) 溝口靖紘ら:肝胆膵,6,947(1983).
15) 溝口靖紘ら:肝臓,25,40(1984).
16) H.Abe,et al. :J.Pharmacol.,37,555(1985).
17) H.Kohno,et al. :Int.J.Immunopharmacol.,10,845(1985).
18) H.Yamada,et al. :CarbohydrateReseach,189,209(1989).
19) H.Yamada,et al. :Phytochemistry,27,3163(1988).
柴胡(さいこ)が使われる代表的な漢方処方
- 乙字湯(おつじとう)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
- 大柴胡湯(だいさいことう)
- 小柴胡湯(しょうさいことう)
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 四逆散(しぎゃくさん)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- 抑肝散(よくかんさん)
- 柴陥湯(さいかんとう)
- 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)
- 抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)
- 神秘湯(しんぴとう)
- 竹じょ温胆湯(ちくじょうんたんとう)
- 滋陰至宝湯(じいんしほうとう)
- 柴朴湯(さいぼくとう)
- 小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)
- 柴苓湯(さいれいとう)
- 加味帰脾湯(かみきひとう)