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加味逍遙散(かみしょうようさん)

公開日:2021.03.30
カテゴリー:外来でよく使われる漢方薬 監修:井齋偉矢先生(日高徳洲会病院院長/サイエンス漢方処方研究会理事長)

構成生薬

作用の特徴

服用開始後、おおよそ1週間程度で効果が出始める

対象となる症状

解説

 加味逍遙散(かみしょうようさん)は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と並んで「女性の三大処方」と呼ばれ、女性に多く使われている漢方薬のひとつです。
 加味逍遙散は、イライラ、不眠、疲れやすいなどといった精神的な症状や、肩こり、頭痛、めまい、ほてりなどといった身体的な症状のどちらにも有効です。
 体の血管の9割を占める細い血管(細動脈・毛細血管・細静脈)の血流を改善し、特に骨盤内の血流の改善と、不安定な精神状態に対しての効果を持ちます。
 患者さん自身の希望で加味逍遙散を選択することは少なく、周囲からの訴えなどをもとに医師が判断して処方することの多い漢方薬です。多岐にわたる愁訴のほか、話が散漫になりがち、他責的である、などの傾向が見られる患者さんに用いられます。
 漢方薬は、複数の生薬の組み合わせですから、いくつもある症状にひとつの薬剤で対応できるという利点があります。まさにその利点を生かせるのが加味逍遙散です。
 1回1包を1日3回服用すると、だいたい1週間程度で効果が出始めてくるでしょう。

エビデンス情報

更年期の不定愁訴改善

 更年期に不定愁訴で来院したうつ病患者で、「証(しょう)」が合った48例に加味逍遙散を、合わなかった52例に抗うつ薬を投与し両群を比較し、21項目の症状を踏まえた更年期指数を評価しました。どちらの群も有意に更年期指数が低下し、群間の差はありませんでしたが、加味逍遙散投与群においては、精神神経症状と関連すると考えられている血中のサイトカイン(細胞間の情報伝達物質)であるインターロイキン6濃度が、更年期指数の低下と有意に相関したことが示されました1)

参考

  • 1) Ushiroyama T, et al. J Trad Med 2003; 20; 150-155

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