複数の漢方薬を使う時の注意
のみ合わせには十分注意する。
漢方薬は、2つ以上の生薬(しょうやく)を組み合わせて作られています。生薬は、自然界に存在する植物や動物、鉱物などの薬効となる部分のことをいいます。たとえば、風邪のときによく用いられる「葛根湯(かっこんとう)」は、葛根(かっこん)、桂皮(けいひ)、大棗(たいそう)、芍薬(しゃくやく)、麻黄(まおう)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)という7つの生薬から作られています。つまり、漢方薬はひとつの薬剤の中にいくつもの有効成分が含まれるといえます。
しかし、たとえ天然物からできているものだからといって複数の漢方薬を同時に服用すると、効果が強く出過ぎてしまったり、あるいは逆に効果を消してしまったりすることがあります。いわゆる西洋薬でいう「飲み合わせ」と同じことです。むしろ漢方薬は、ひとつの薬剤に複数の生薬が組み合わされているために、飲み合わせの注意は複雑かもしれません。
ですから、漢方薬は「天然の生薬から作られているから複数を同時に服用しても問題がない」と考えている人がいますが、それは誤解なのです。
漢方薬は本来、患者さんの体質や症状を詳しく診断してから処方されるものです。同時にとってはいけない成分や飲み方のルールがあります。
一人の医師と薬剤師がすべての薬を処方、調剤している場合は問題ありませんが、複数の医療機関にかかっていたり、患者さん自身がドラッグストアなどでOTC(市販薬)の漢方薬を買って飲んでいたりする場合は、飲み合わせに注意する必要があります。特にOTCの漢方薬を、自分の判断で同時に複数飲むことは避けましょう。また、心配なことや疑問に思うことがあったら、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。