そもそも、副作用とはなんでしょう?
漢方薬は「生薬(天然物)から作られているから、副作用がなく安全」という方がいますが、これは誤りです。天然物にも有毒なものがありますし、漢方薬に限らず好ましくない症状を引き起こす可能性は、どんな薬でもゼロではないと言われます。
そもそも「副作用」とは、何でしょうか。WHO(世界保健機関)では、「使用基準に従い、適量を投与したにもかかわらず引き起こされる有害な反応」を副作用と定義しています。このWHOの定義に従うと、使用方法のミスで引き起こされた有害な反応は、副作用ではありません。このようなケースを、漢方医学では「誤治(ごち)」と呼びます。
ただし一般的には、治療目的に沿った方向で現れる好ましい反応を「主作用」と呼び、それ以外のすべての作用を「副作用」と呼ぶことが多いでしょう。
この広い定義に従った場合、漢方薬の副作用として多く挙げられる症状は、「味や香りになじめずに吐き気が起こる」「のむ量が多くてお腹がふくれる」「のみ始めたときにお腹がゆるくなる」などです。他にも、アトピー性皮膚炎や花粉症、特定の食物にアレルギーのある人などは、漢方薬をのんだ場合、まれに発疹が出ることもあります。
広義の副作用が起きる要因としては、1.薬そのもの、2.投与量などの薬の使い方、3.患者さんの体質・体調の3つに整理されます。ですから、患者さんの側からも「症状」や「体質」、「他に飲んでいる薬」などを予め整理しておいて、正しく報告することが大事です。また、薬の使用に関しては勝手な判断をせず、必ず医師・薬剤師に相談するようにしましょう。
※副作用とは別の「瞑眩(めんげん)」という現象もあり得ます。詳しくは“『瞑眩』と決めつけないで”の項をご覧ください。