体質的に胃腸が弱い人
公開日:2010.06.10
更新日:2021.03.17
カテゴリー:こんな人は、注意が必要なケースがあります
監修:秋葉哲生先生(あきば伝統医学クリニック院長)
含まれている生薬によっては
胃腸障害を起こすことがある。
医療機関で漢方薬が処方されると、通常は食前や食間(食事と食事の間)の服用を指示されます。どちらも胃の中に食べ物が入っていない空腹の状態です。
漢方薬に含まれる生薬の成分の多くは、消化酵素、腸内細菌によって腸から吸収されやすい形に変えられ、効果を現すといわれています。空腹時の胃はpHが低く、酸性の状態です。この場合、漢方薬の吸収は悪くなります。すなわち、穏やかに吸収されるのです。あるいは、胃の中で食べ物と混ざることで起こりえる影響を避けるためにも、空腹時に飲むほうがよいとされています。
しかし、体質、症状などによっては、このルールに従わない方がいい場合もあります。
なかでも、体質的に胃腸が虚弱な人や、胃腸に何らかの疾患を抱えている場合は、食欲不振や胃もたれ、下痢などの症状が出ることがあるため、食後に服用するよう指導されることがあります。空腹時に服用する場合は、通常よりも量を減らして処方されるケースもあります。
特に、地黄(じおう)、当帰(とうき)、川きゅう(せんきゅう)などを含む処方は胃腸障害を起こすことがあるので、注意が必要です。症状によっては、六君子湯(りっくんしとう)、四君子湯(しくんしとう)、平胃散(へいいさん)、人参湯(にんじんとう)など、胃腸を保護する作用のある漢方薬も一緒に処方されることがあります。
胃腸が弱い人や胃腸に何らかの疾患を抱えている場合は、ふだんから診察の際に医師に詳しくその症状を伝えることが、適切な処方や服用の指示につながります。疑問があったら、必ず医師、薬剤師に相談しましょう。