保険適用の漢方薬と、適用外の漢方薬の違いは?
漢方薬は、自然界にある植物や鉱物などの生薬を複数組み合わせて作られています。生薬の組み合わせ自体は無限大といえるほどたくさんありますが、その中からどの生薬を組み合わせるとどんな効果が得られるか、有害な事象がないかなどを、長い年月をかけて確かめられ、体系化されたのが、現在の漢方薬(漢方製剤)の処方です。
日本では2020年時点で、医療用漢方製剤として148処方、一般用漢方製剤として294処方が厚生労働省の認可を受け、販売されています。医療用漢方製剤とは病院など医療機関で医師が処方し、健康保険が適用される漢方薬のことで、一般用漢方製剤とは一般の薬局(ドラッグストア)で市販されている漢方薬のことをいいます。
このように、医薬品に医療用と一般用があるのは、西洋医学の薬剤でも同様です。しかし西洋医学の薬剤の場合、病院で処方される医療用医薬品と、ドラッグストアなどで購入できる市販薬とでは、同じ効果を表示していても、成分や薬剤の含有量が異なったり、効き方や効き目が異なったりすることがあるのに対し、漢方薬の場合、医療用と一般用の漢方製剤に成分上の違いはありません。あるいは製造販売企業によって、同じ処方の漢方薬でも成分量などに若干の違いがあるケースはありますが、医療用か一般用かによる違いはないのが、漢方薬の特徴といえます。
漢方薬のそうした特徴は、患者さんにとっては病院で処方されるのと同じ内容の漢方薬をドラッグストアで手軽に購入できるという、大きなメリットになります。ですがその一方で、自分に合わない漢方薬を購入してしまい、望んでいた効果を得られにくかったり、好ましくない作用が現れたりすることも考えられます。特に複数の漢方薬を同時に飲む場合は、そのような作用が出やすいことがあり、注意が必要です。
漢方薬は本来、患者さんの体質や症状を詳しく診断してから処方されるものです。同時にとってはいけない成分や、飲み方のルールがあります。市販の漢方薬を購入する際はかかりつけの医師や薬剤師に相談し、自分の判断で同時に複数飲むことのないようにしましょう。