高齢者の身体合併症 漢方ではどう治療する?(3)「不眠、睡眠障害」「疲労倦怠感、免疫力低下」「嚥下困難」
高齢者は、さまざまな疾病や愁訴を合併します。そこで、高齢者が気をつけたい「身体合併症」について、漢方ができることを解説します。
不眠、睡眠障害
加齢とともに睡眠は変化し、健康な高齢者の方でも睡眠が浅くなり、中途覚醒や早朝覚醒が増加します。
西洋医学では?
睡眠障害の薬物療法は長期間にわたり使用することは避けなければなりません。効果が出ないからといって睡眠薬や鎮静薬を使いすぎると、強い眠気や誤嚥、転倒・骨折などのために生活の質が低下します。
漢方では?
主に、抑肝散(よくかんさん)、酸棗仁湯(さんそうにんとう)、加味帰脾湯(かみきひとう) が使われます。これらは、服用した日から不眠症に効き目があらわれるものはありませんが熟睡感が得られ、入眠障害に効果があります。
疲労倦怠感、免疫力低下
体力がしだいに低下すると、なんとなくだるい、食欲がない、疲れやすいといった状態が続くようになります。
西洋医学では?
慢性疲労症候群などの状態を除いて、一般的には疲労という状態は病気ではないと考えられているため、基本的に西洋医学では薬などによる治療は行いません。
漢方では?
主に補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう) などの全般的な体力、生命機能の不足を補う補剤という漢方薬が使用されます。補剤は、神経・内分泌・免疫系に総合的に働き病後・術後の体力低下に使用されます。
嚥下困難
嚥下障害とは、食物が、口腔、咽頭、食道を経て胃に至る過程に障害があることです。
嚥下がうまくいかないことで起こりうる病気のうち、もっとも気を付けなければいけないのが誤嚥性肺炎です。嚥下反射や咳反射が低下しているため、食べものの一部あるいは全部が声門以下の気道に流入することをさし、飲食物・分泌物・胃内容物の誤嚥により起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。
漢方では?
主に、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)が使われます。 半夏厚朴湯は、咳反射や嚥下反射を改善し食事をするときに喉が詰まったり、異物感を覚えたりするときに使用されます。
高齢者の身体合併症 漢方ではどう治療する?
- 「便秘」「尿失禁・排尿障害」
- 「吐き気、嘔吐、食欲不振、体重減少 」「こむらがえり」
- 「不眠、睡眠障害」「疲労倦怠感、免疫力低下」「嚥下困難」