お肌の悩みに内面と外面からアプローチ「女性のための漢方セミナー名古屋2010 大人女子の漢方ビューティープロジェクト」
一般の女性を対象にした大規模な漢方のイベントがあると聞きつけ、東海テレビ放送主催「女性のための漢方セミナー2010 大人女子の漢方ビューティープロジェクト」にお邪魔してきました。
イベントの前半は名古屋大学医学部産婦人科講師の梶山広明先生と、そらクリニック院長の山口亜紀先生より漢方薬の基礎知識に関して講演がありました。イベントの後半では、タレントの熊田曜子さん、磯山さやかさんを交えて女性が特に気になる「お肌の悩み」をテーマにトークセッションが行われました。
漢方医学と西洋医学の特徴
名古屋大学医学部産婦人科講師 梶山広明先生
最初に、梶山先生より漢方医学と西洋医学の特徴について講演がありました。西洋医学は検査をして病名を診断し、病名に応じた治療を行うのが特徴です。西洋薬は有効成分が単一で、インフルエンザなどの感染症の菌を殺したり、熱や痛みをとる、手術など原因がはっきりしている病気や症状の治療が得意とされます。一方、漢方薬は複数の生薬を組み合わせた薬です。それぞれの生薬は多くの薬効を含んでいるので、一つの処方でも様々な作用を持っています。漢方薬は慢性的な病気、全身的な病気や症状の治療を得意としています。梶山先生によると、「漢方薬は単一の症状に限らず、全身にじんわり効きます。また、表面的な症状によらず、患者さんそれぞれの体質に合った処方をするので、オーダーメイドの治療である。」とのこと。
自分の心と体の声を聞いてほしい、漢方はその手伝いをする
そらクリニック院長 山口亜紀先生
次に、山口先生より漢方薬の役割について講演がありました。山口先生は皮膚疾患を専門にしており、アトピー性皮膚炎など慢性の皮膚炎の治療をしているときに、「西洋薬は症状を抑えているだけなのでは?」と考え、漢方薬に関心を持つようになったそうです。山口先生によると、「漢方薬は心と体を全体的に癒す。自然治癒力を引き出す治療法である。」とのこと。
皮膚に出る症状は多くの要因が考えられます。例えば、食生活や胃腸の不調が原因であったり、女性だと月経不順が原因のこともあります。また、ストレスによる心の不調が原因であることも。山口先生がおっしゃるには、「健康でいる秘訣は自分自身の心と体と対話すること。頑張りすぎないで、もっと自分の心と体の声を聞いてほしい。そのお手伝いが漢方薬はできると思う。」とのこと。
“大人女子の漢方ビューティープロジェクト”
タレントの熊田曜子さん、磯山さやかさんと、先に講演した梶山先生、山口先生とで、「お肌の悩み」をテーマに、トークセッションが行われました。
女性が気になる「お肌の悩み」の原因には、紫外線などによる外的要因と、体調やストレスなどによる内的要因の2種類があります。外的要因は、スキンケアなどで対処することも可能ですが、内的要因への対処はどうしたらよいのでしょうか。
お肌の悩みに効果的な漢方薬とは?
梶山先生、山口先生より、肌のトラブルの原因に効果のある漢方薬が紹介されました。
- 内面的トラブルに効果的な漢方薬
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):お血(おけつ:血の流れが滞ってる状態)、月経不順に効果的
- 真武湯(しんぶとう)):冷え症に効果的
- 人参湯(にんじんとう):胃腸の働きを改善、冷え症に効果的
- 表面的トラブルに効果的な漢方薬
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):ニキビの改善
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):血行、発汗を促進。皮膚を綺麗にする
- 当帰飲子(とうきいんし):血虚を改善。乾燥肌に効果的
梶山先生によると、「女性の肌トラブルは、血(けつ:漢方の考え方の一つで、血液の循環のこと)の不調が要因。」とのこと。「血」の不調によるトラブルは、肌荒れだけでなく、冷え症・月経不順・眼精疲労・肩こり・倦怠感・頭痛・髪のぱさつき・爪割れと女性が気になる症状ばかり。これを聞いて、「体調や月経の周期に合わせて漢方薬を飲んでみようかと思います。」と熊田さん。「ほとんどの症状が思い当たる。病院に行ってみようという気になった。」と磯山さん。
舌診でセルフチェック
漢方医学では舌を診て健康状態を確認する舌診という方法があり、比較的簡単にセルフチェックが出来るとのことで、その紹介がありました。診るポイントは、「舌の色」、「舌の形」、「舌の裏の血管」の3つです。舌の色は、ピンク色が正常ですが、冷えていると白くなります。また反対に熱があると赤くなります。舌の形では、例えば舌に歯型がついていると舌がむくんでいる状態なので、水滞(すいたい:体の水分が滞っている状態)の兆候があるそうです。舌の裏の血管がはっきりと浮き出ているとお血の兆候があるそうです。気になることがあれば、医師に診てもらうことが大切です。
イベント参加者の声
さて、女性からみた漢方薬のイメージはどんなものでしょうか。会場は約1000人の人で満席でした。参加者にインタビューしたところ次のような回答でした。
- 漢方薬が処方された時の印象
- 処方されたときは、「え?漢方!?」ってビックリしたのですけど、飲んでみるとおいしくて。処方されたものが、私の体質に合っていたみたいです。(20代女性)
- かかっている病院が漢方薬と西洋薬を選べる病院なので、漢方薬の方がなんとなく体にいいかなぁって思い、漢方薬を処方してもらいました。(40代女性)
- 漢方薬のイメージ
- 今まで、年配の人が飲む薬というイメージでしたが、自分にも関係があるとわかりました。(30代女性)
- 先生の話を聞いて、実際飲んでいるので、「じんわり効く」がすごく納得できました。(40代女性)
- 病院内薬局の薬剤師をやっています。実際、病院でも漢方薬はよく処方されています。西洋薬と両方を上手く使って、色々な治療やケアができていければと思います。(20代女性)
- 今後の、漢方薬との付き合い方
- 生理不順などが気になっていたので、漢方で治療しようかと思いました。(20代女性)
- 今後も飲み続けたいと思います。(40代女性)
- 女性の気になる症状が全部当てはまっていたので、是非先生に診てもらいたい!(30代女性)
- 貧血や頭痛が気になるので、漢方で改善できるなら治療したいです。(30代女性)
健康で美しくありたいと、全ての女性が願うもの。漢方薬が自分自身の心と体を整えたり、お肌のトラブル対処に有効な場合があるという話に多くの女性が関心を示していました。気になる方は、医師に相談してみるのもいいかもしれません。