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【六君子湯】胃切除後の胃がん患者における消化管症状とグレリンレベルに対する効果/論文の概要

公開日:2014.02.18
カテゴリー:特集・漢方の実力

論文の概要

<論文タイトル>
胃切除後の胃がん患者における消化管症状とグレリンレベルに対する六君子湯の効果
Effect of rikkunshito, a Japanese herbal medicine, on gastrointestinal symptoms and ghrelin levels in gastric cancer patients after gastrectomy(Gastric Cancer. 2013, 16(2), p.167-174.)
目的
胃切除後の胃がん患者での術後消化管症状とグレリンレベルに対する六君子湯の有効性を検証する
試験デザイン
前向き単施設単群試験
セッティング
大阪大学大学院医学系研究科消化器外科学
対象

2010年12月~2011年5月までに組織学的に胃がんと診断され治癒を目指して胃切除およびリンパ節郭清を受けた胃がん患者で

  1. 術後6カ月から5年
  2. 固形食の摂取可能
  3. アメリカ東海岸腫瘍臨床試験グループのパフォーマンス・ステイタス(PS)1以下
  4. 年齢20~80歳
  5. 主要な臓器機能が正常

の基準を満たした25例(男性16例、女性9例)。平均年齢61.9歳。
平均BMI21.0±2.7kg/m2。胃がんの進行度はステージ1が24例、ステージ2が1例。
切除術式は幽門側胃切除17例、胃全摘出術8例。術後から研究登録までの期間は平均890±578日。
妊娠中あるいは妊娠希望者、がん化学療法施行中、他臓器での腫瘍を有する者、
その他研究実施者が不適格と判断したものは除外。

介入
対象者全員に六君子湯食前1回2.5gを1日3回、4週間投与し、その後4週間休薬。
主な評価項目

六君子湯投与前、投与4週間後、六君子湯休薬4週間経過後(8週間経過時点)で以下を比較。

  • 食欲に関するビジュアル・アナログスケール(VAS)スコアの変化
  • 活動力低下、逆流症状、低血糖症状、悪心嘔吐、消化不良症状、疼痛を点数で評価する上部消化管機能評価(DAUGSスコア)総合および症状ごとの変化
  • EORTC-QLQ-C30によるQOL評価
  • 血漿中の活性型グレリン(アシルグレリン)値と不活性化グレリン値(デスアシルグレリン)
    総グレリン値は活性型と不活性型の和として算出
  • 血清中のホルモン検査値、栄養指標検査値 以下の指標
    成長ホルモン(GE)値、レプチン値、インスリン様成長因子-1(GHF-1)値、ヘモグロビン値、アルブミン値、リンパ球値、コリンエステラーゼ値、トリグリセライド値、総コレステロール値、トランスサイレチン値、トランスフェリン値、レチノール結合タンパク値
結果
  1. 総グレリン値に有意な変化はなかったが、総グレリン値に占める活性型グレリン(アシルグレリン)値の割合は投与4週間後に有意に上昇し(p=0.0026)、この時点から休薬4週間後に有意に低下した(p=0.0015)。
  2. 食欲に関するVASスコアは投与4週間後に有意に改善した(p<0.05)。
  3. 総DAUGスコアは投与4週間後に有意に改善し(p<0.05)、DAUGスコア内の活動力低下、逆流症状、低血糖症状、悪心嘔吐症状も投与4週間後に有意に改善した(p<0.05)。
  4. EORTC-QLQ-C30のQOL評価は投与4週間後に有意に改善した(p<0.05)。
  5. 血清ホルモン検査値、栄養指標検査値に変化は認められなかった。
結論
六君子湯は、胃切除術後の経過患者に対して活性化グレリンを増加させ、体重増加、食欲増加、胃腸障害抑制、身体機能の向上に寄与できる薬剤と考えられる。

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