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【婦人科専門医が解説】月経前症候群(PMS)、PMDD(月経前不快気分障害)のつらさを軽減させるには

公開日:2017.12.18
カテゴリー:症状別得意分野

生理前に起こるカラダとココロの不調

 「月経前症候群」(PMS)をご存知ですか?月経の3~10日位前になると女性のカラダや心に起こる、様々な不調のことをいい、月経が始まると症状が治まっていくのが特徴です。

 PMSは身体面だけでなく、精神面にも影響を与えます。PMSで精神的な面で不調を強く感じ、仕事や生活に支障がでる状態をPMDD(月経前不快気分障害)と言います。うつ病とよく似た症状が出ますが、月経が始まると症状が軽減し、普通の状態で過ごせるようになります。

PMS、PMDDのつらさを軽減させるには

 女性の身体はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン) という2つの女性ホルモンの働きによって、コントロールされています。2つのホルモンバランスが変化するのは、黄体ホルモンが増える排卵後です。黄体ホルモンは子宮内膜を厚くして妊娠しやすい状況を作る一方、体に水分を貯留し脳内伝脱物質を低下させて抑鬱状態を作りやすくします。そこで体内の水分量や、脳内物質、血糖値などが影響を受け、様々な不調を引き起こします。

 PMS、PMDDのつらさを軽減させるには生活習慣の見直しから始めましょう。カフェイン、アルコール、タバコなどの嗜好品はビタミンやミネラルの吸収を阻害し女性ホルモンに影響を及ぼすと言われているので、極力控えましょう。また、セロトニンの分泌も高められるので朝日を浴びて散歩をすることや、リズミカルな運動、ガムを噛むなども良いかもしれません。基本的にバランスの良い食事、軽い運動、ストレス発散、質の良い睡眠などを意識して、日々の生活に取り入れるだけでも、PMSのつらい症状はおさえられてくることと思います。

 PMSの改善に有効なお薬の一つに低用量ピルがあります。低用量ピルは排卵を抑制するため、黄体ホルモンの量が一定化するので女性ホルモンが安定して、症状が軽くなります。症状が日常生活に支障が出るほどつらい場合は、婦人科専門医へ相談することをおすすめします。

PMSやPMDDにこの漢方

加味逍遙散(かみしょうようさん) 体力が中等度・虚弱の人。症状としては「イライラする」「気分の変動が激しい」「気分の落ち込み」のある人に。
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) 自律神経のコントロールを正常化する。
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 神経症状の強い人のリラックスに効果的で気うつ状態を緩和。虚弱体質の人に。
加味帰脾湯(かみきひとう) くよくよ悩みがちな人に。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 体力が中等度の人。症状としては「頭痛」「肩こり」「便秘」「ほてり」のある人に。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 不安感を取り除く効果があると言われている。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう) 体力が中等度・虚弱の人。症状としては「頭痛」「吐き気」「手足の冷え」のある人に。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 体力が虚弱の人。症状としては「貧血」「冷え性」「むくみ」「疲れやすい」「月経が遅れがち」「トイレが近い」症状がある人に。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 体力が中等度の人。症状としては「ニキビ」「吹き出物」「肌トラブルでお困りの方」のある人に。

中島由美子先生
平レディースクリニック 院長
(社)日本産科婦人科学会 産婦人科専門医

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