不妊
公開日:2010.06.01
カテゴリー:病気と漢方
監修:大阪医科大学健康科学クリニック 後山尚久
トラブルに負けない体づくりを!
不妊とは、健康な男女が避妊をしない正常な夫婦生活を送りながら、2、3年経過しても妊娠しない場合をいいます。すでに1人産んでいても、2人目を望んで3年以上あいた場合も不妊の疑いがあります。
女性側の原因としては、無排卵性月経や黄体機能不全などの卵巣を中心としたホルモン障害、子宮発育不全や子宮内膜症などの子宮を中心とした器質的障害、あるいは卵管狭窄、卵管閉鎖などの卵管障害が考えられます。精神的な原因によって起こる場合もあります。男性側の原因で多いのは、精液中に精子がなかったり、精子の数が少ない、精子の運動能力が悪い、また精子が通る精管の閉鎖などがあげられます。
漢方薬にできることは
排卵障害などの機能的な異常には、一般に排卵誘発剤やホルモン療法が行われます。漢方が使われるのは、おもに卵巣や脳のホルモンの機能障害と、原因不明の不妊の場合です。不妊は、妊娠に関係する種々のホルモンのバランスが崩れている状態。漢方では、例えば「冷え」を取り除くことで、卵巣機能を回復するなど、全身状態を調え、妊娠に備えた体づくりを目指します。
女性の生理不順や不妊治療に昔から使われてきた温経湯(うんけいとう)、ホルモンバランスや全身の血行を良くする当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、男性には、精子の数や運動率を改善するのに有効な補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などを、体質、症状などに合わせて使い分けます。体にやさしい治療で、本来ヒトがもっている回復力を引き出します。最近では、ホルモン療法との併用治療も増えています。
私たちの体は非常にデリケート。体調の乱れや、ストレスに負けない心と体をつくりましょう。
くらしの中の予防法
冷えは、不妊、生理不順など、さまざまな不調をもたらします。なるべく冷たい飲食物をとらず、体を温める食品をバランスよくとる、過剰な冷暖房を避ける、血行を良くする運動を適度に行う、などの工夫をしましょう。