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西田メディカルクリニック 西田元彦理事長

公開日:2014.07.02
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

一人ひとりの状態に合わせた治療をめざす

 西田メディカルクリニックはホリスティック医学、全人的医学を目指して、患者さんのためになるならば、西洋医学・東洋医学・民間療法にこだわらずに取り入れて治療を行っています。
 来院された時に漢方治療を希望するかどうかを伺って、希望する方には漢方の考え方に沿った問診票を渡します。西洋医学の治療で使用するものとは若干違っていて、例えば暑がりだとか寒がりだとか、汗をかきやすいとか生理についてなども細かく聞いていきます。そうした漢方的な問診票を取ってから、脈診・舌診・腹診をします。
 漢方では病気の「勢い」を診ます。例えば風邪でも今治りかけなのか、かかったばかりなのか、これから悪くなるのか、良くなるのかという、進行状態によって出す薬が違います。また、もともと体力がある人と無い人でも、治療法は変わってきます。
 同じ症状でも、漢方はいろいろな治療の仕方があります。大きな考え方としては、補うか出すかという「補と瀉(しゃ)」のどちらかです。
 さらに「気・血・水」で状況が見えてきます。興奮しすぎて気が昇っている状態を気逆といい、気が落ち込んでいるのは気鬱、血液が多いのは血虚、血が多ければ淤血(おけつ)、水が多ければ水毒。その中のどれに当てはまるのか、混合ならばどのような組み合わせなのか、その人の状態を診て決めていきます。同じ人に同じ薬を出しても、患者さんの状態と、症状の進行によっては効かないこともあります。
 また、患者さんが良くなるためには、漢方治療がいいのか西洋医学が合っているのかを見極めてあげないといけません。漢方治療を希望していても、西洋医学の方がいい場合もあるし、西洋医学の薬でなければ嫌だという人でも、漢方薬を試してみたらと提案することもあります。どちらも使えるのがいいと思います。状態を見て合ったものを出していく、その中で患者さんの希望もありますから、個別に対応していきます。

自身の体験を経て、漢方への関心が深まった

 学生時代から東洋医学の考え方に関心がありました。今でこそ抗生物質はなるべく使わないという傾向になってきましたが、私が研修医をしていた頃にはちょっとの風邪でも出すというのが普通で、それを疑問に思っていたんです。ある日当時の呼吸器部長だった先生に「細菌感染でもないのに予防で抗生物質を出すのはいいんですか」と言ったところ「そういうものだ」とたしなめられる、そんな時代でした。 また、私の担当で漢方薬を出したら調子が良くなった患者さんがいて、部長回診の時に「西田先生に出してもらった薬ですごく良くなりました」と言われたことがあり、後で部長に「何を出したんだ。変な薬を出すな」と怒られたこともありました。漢方は、異端な治療ということなんだなあと。でも良くなったんだからという気持ちがあって、ずっと関心を持ち続けていたんですよ。
 それから医者になって6年目くらいの時に、忙しかったからか、風邪を引いたのがなかなか治らなくて、こじらせてはいけなと思って、抗生物質ばかり飲んでいたことがあって。あんまり治らないのでレントゲンを撮ったら肺炎になっていて・・・。最初から西洋医学で治療しているのに治らないじゃないかと思い、漢方薬を飲んだらすっと治りました。
 忙しくていろいろストレスもたまって体も疲れて・・・というところへ、無理に抗生物質で叩くようなことをやっていたから治らなかったんでしょうね。そこで免疫を上げるような漢方薬を飲んだら効果があった。そのあたりから、より東洋医学への関心が深まりました。

総合的な東洋医学への取り組みとは

 東洋医学は漢方薬を飲むだけではなく、気功や太極拳等の運動や、薬膳なども食事も大切な要素です。東洋医学の本当の力を発揮するためには、漢方薬だけでなく、運動う指導も食事指導も大切です。
 クリニックに「メディプラスガーデン」という運動施設を併設していて、ホリスティック医療として病気を治すために、生活習慣の改善に取り組んでいます。食事については管理栄養士が指導していて、運動はスポーツインストラクターが指導しています。食事も運動も頑張りたいという人をしっかりバックアップできる体制を作っています。整形外科で運動施設を持っているところはありますが、内科ではなかなかありません。本当に生活習慣病を治していくモデルケースになればと思って始めました。

患者さんを応援する医療を目指して

 熱が出たらすぐ解熱剤を飲んだり、痰のからむ咳にもすぐ咳止めを飲んだり、下痢をするとすぐ下痢止めを飲んだりする傾向がまだまだみられます。しかし、熱、咳、下痢等の症状は、すべて早く病気を治そうとする体の反応なのです。
 熱は免疫力を上げるために、痰や下痢は体に入った菌やウイルスを排出するためなんです。それら症状を無理に止めるようなやり方は、その場は楽になったとしてもかえって体に悪いことをしているんです。
 東洋医学では、こういう体の声を聞いて直していこうという考えが根底にあります。熱が出ればより温めて免疫力を高める。下痢があっても、下痢止めではなく、逆に便の量がふえるような工夫をする。こういった漢方的な感覚を皆さんに知ってもらうことで、本質的に治していくというのが広まってほしいです。自分の体は自分で治さないと、他人は治してくれません。体質改善の取り組みを応援しながら、ある程度の病気は自分で治せるような人が少しでも増えるといいかなと思います。
 生活習慣病は文字通り、生活習慣の乱れで起きた病気。だからそれを改善すれば良くなる、というと驚く患者さんもまだまだいます。例えば高血圧などは心臓に負担がかかっているため、とりあえず薬で抑えて、その間に生活習慣を改善すれば薬は要らなくなると伝えます。でも、面倒くさいから薬で良いという人もいますし、それは尊重します。本当に頑張れる人はそんなにたくさんではないから、でも、頑張りたいと思っている人にはしっかり応援しますというスタンスですね。患者さん次第です。ただ、できるだけ薬なしでという人にアドバイスをしていくという体制は整えているつもりですし、生活習慣を本当に改善したい人に、どうしたらいいかを生活面・運動面・食事面で、これからもよりしっかりサポートができるような医療を目指していきたいです。

西田メディカルクリニック

医院ホームページ:https://nishida-medicalclinic.or.jp/

JR・名鉄線「豊橋」駅乗り換え、豊鉄バス「豊橋駅前」駅より6分「吉川町」駅にて下車徒歩3分。
採光のいい待合室は明るく暖かい雰囲気。庭の緑が心地よく、リラックスできます。クリニック特製の健康茶サービスも。
詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

内科、消化器科、アレルギー科

西田元彦(にしだ・もとひこ)理事長略歴
1984年 藤田学園保健衛生大学医学部卒業
名鉄病院、西尾市民病院等を経て、
現在、医療法人メディプラス 西田メディカルクリニック理事長
■資格・所属学会他

日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、漢方専門医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医
日本生気象学会評議委員、日本笑い学会中部支部幹事、東海ホリスティック医学振興会理事等

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