薬局で買えるOTC医薬品に“隠れ防風通聖散”も
33品目中15品目が異なる商品名で店頭に
ワゲン福祉会 総合相模更生病院 薬剤部の加藤鈴氏らは、6月に名古屋で開催された第68回日本東洋医学会学術集会で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の副作用報告データの分析結果を発表。防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)の副作用発現状況は、含有量の少ないOTC製剤でも変わりがないことを明らかにしました。
防風通聖散は黄ごん(おうごん)、滑石(かっせき)、甘草(かんぞう)、桔梗(ききよう)、荊芥(けいがい)、山梔子(さんしし)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、石膏(せっこう)、川きゅう(せんきゅう)、大黄(だいおう)、当帰(とうき)、薄荷(はっか)、白朮(びゃくじゅつ)、芒硝(ぼうしょう)、防風(ぼうふう)、麻黄(まおう)、連翹(れんぎょう)といった生薬で構成されており、体力の充実した、腹部の皮下脂肪が多く、便秘がちな人などに用いられます。
この防風通聖散はOTC医薬品としても発売されており、異なる商品名がつけられている場合も多く見られます。加藤氏の調査ではOTC医薬品で売られている防風通聖散全33品目のうち、方剤名と商品名が異なる品目が15品目(例:コッコアポシリーズ、ナイシトールシリーズ)ありました。また、生薬含有量は医療用の2/3、1/2量、同量などさまざまでした。
患者さんへの副作用初期症状の情報提供が重要
防風通聖散には、重い副作用として肝機能障害などの肝・胆道系副作用、間質性肺炎などの肺・呼吸器系副作用があります。PMDAに報告されていた防風通聖散の各副作用の割合は、肝・胆道系副作用が医療用製剤で52.1%、OTC製剤で55.3%、肺・呼吸器系副作用が医療用製剤で30.9%、OTC製剤で26.3%、その他の副作用が医療用製剤で14.7%、OTC製剤で10.5%でした。
各副作用の発現状況が医療用製剤とOTC製剤でほぼ同程度だったことから、医療用製剤より構成生薬含有量が少ないOTC製剤でも、同じように注意する必要がある可能性が示されました。これについて加藤氏らは「薬剤師や登録販売者は指導を強化する必要がある」と見解を表明しました。