女性のさまざまな健康トラブル、原因の8割9割は「冷え」ってホント?
女性は1か月のうち約1/3程度何らかの不調を感じている
日本漢方生薬製剤協会は10月12日、漢方・生薬製剤の普及、啓発活動の一環として、「第20回市民公開漢方セミナー」を開催。「漢方で改善!!働く女性の健康管理」と題して麻布ミューズクリニック院長の玉田真由美先生が講演しました。
総務省によると、労働力人口総数に占める女性の割合は約40%(2014年時点)と年々上昇しています。加えて女性の社会進出を望む割合は8割以上(内閣府調べ)という調査があり今後、働く女性はどんどん増えていくでしょう。しかし、「働き盛りの世代の女性は特に女性ホルモンの変動の影響を受けるため、月経随伴症候群や更年期症候群といった女性特有の症状に悩まされやすい世代でもあります」と玉田先生。月経前随伴症候群はイライラや落ち込みといった精神面の不調に加え、激しい腹痛やむくみ、肩こり腰痛などの身体面の不調が現れます。
玉田先生は、「女性は月経随伴症候群によって、1か月のうち約1/3は何らかの不調を感じている人が多いです。ひどい人ではほぼ毎日不調を感じています」と話します。更年期症候群では、のぼせやほてりといった「ホットフラッシュ」や冷え、情緒不安、関節痛などの症状が起こります。このような女性特有の症状を理由に昇進を辞退したという人も少なくないようです。
不調の多くに共通する原因「冷え」
玉田先生は「すでに症状がある方も、毎日元気でいられるよう対策をとることができます」と話します。「いつものことだから…」と諦めずに、まずは生活習慣を見直して、症状が悪化する原因を知るのがよいでしょう。各種症状にはそれぞれ原因がありますが、多くに共通する原因として「冷え」が挙げられます。薄着や空調による身体の冷えや、ダイエットのための極端な食事制限、冷たい飲み物・食べ物のとりすぎなどが冷えを悪化させます。
冷えを放置すると婦人科系トラブルだけでなく、風邪をひきやすくなったり、頭痛を起こしやすくなったり、泌尿器系や消化器系、運動器系のトラブルにつながります。そこで温度調整しやすい服装にすることや、食事に温かいものを取り入れること、空調設定の見直し、お風呂はぬるめのお湯に浸かるといった対策をとりましょう。冷えがひどくならないうちに早めに対策することが大切です。
同じ症状でも原因や体質によって処方が異なる漢方
東洋医学では病気になる前の「未病」の段階から治療の対象と考えます。診察では、漢方独自の方法で患者さんをくまなく診察して、まず患者さんの体質、「証」を見極めます。さらに、体内の「気」(生命活動のエネルギー)、「血」(血液)、「水」(血液以外の体液)の3つのどのバランスが崩れているのかを診ます。気の巡りが乱れると自律神経のバランスが崩れやすくなり、血の巡りが乱れると熱や栄養、酸素の運搬力が低下、水の巡りが乱れると老廃物の排出力が低下するそうです。
それぞれの乱れによって起こる症状に対して使用する代表的な漢方がありますが、同じ症状でも、原因や体質によって、処方される漢方薬は異なります。副作用などのリスクもあるので、自己判断せずに医師の診察を受けましょう。最後に玉田先生はメッセージとして「女性のさまざまなトラブルの原因は、8割9割が冷えと言ってもいいほどです。まず冷え対策を行いましょう。なかなか改善しない場合もあきらめないでください」と話しました。