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【六君子湯】抗がん剤治療による食欲不振の抑制効果/論文の概要

公開日:2012.09.28
カテゴリー:特集・漢方の実力

論文の概要

<論文タイトル>
漢方薬・六君子湯はヒトでのシスプラチン誘発食欲不振を抑制する
Rikkunshito, a traditional Japanese medicine, suppresses cisplatin-induced anorexia in human.
Tetsuro O, et al. Clinical and Experimental Gastroenterology. 2011; 4: 291-296.
目的
切除不能・再発胃がんでの六君子湯のグレリン分泌に対する効果とシスプラチン誘発食欲不振に対する効果を検証する
試験デザイン
ランダム化クロスオーバー試験
セッティング
群馬県内の大学病院
対象
組織学的に切除不能あるいは再発胃がんと診断され、ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)のパフォーマンス・ステイタスが0~1、推定平均余命3カ月以上の10名。検討前にシスプラチン以外での化学療法1レジメンは許容。
介入
患者をA群(5名)とB群(5名)にランダムに振り分けた。A群ではI 期目で80mg/m2/日のS-1を21日間、8日目にシスプラチン60mg/m2を投与し、六君子湯7.5g/日(分3)も21日間併用。この後、14日間の休薬期間を経て、II 期目に六君子湯非投与で同様のがん化学療法レジメンを施行。B群では、全ての薬剤は同一投与量で、I 期は六君子湯非投与、II 期は六君子湯を投与した。
主な評価項目
主要評価項目:経口摂取率、悪心・嘔吐・食欲不振のグレード評価
副次評価項目:血漿アシル化グレリン濃度
結果

摂食率は、六君子湯投与期62.4%に対し非投与期39.4%で、投与期で有意に改善した(p=0.0496)。食欲不振のグレード評価(グレード0~4)の平均値は六君子湯投与期1.2、非投与期2.2で六君子湯投与期間の方が有意に低かった(p=0.0441)。悪心と嘔吐のグレード評価は六君子湯投与期間中で有意差はないものの低くなる傾向が認められた。血漿アシル化グレリン濃度は、六君子湯投与期はシスプラチン投与前と投与3時間後で変化はなかったが、非投与期ではシスプラチン投与後に低下傾向を示した。

結論
六君子湯はシスプラチンによって誘発される食欲不振を抑制し、がん治療を継続させることに寄与することが示唆された

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