漢方のウワサ!リサーチ隊 Vol.1「日本で売られている漢方薬って全部輸入品?」を徹底調査
エキスパートに聞く
漢方薬は日本で独自に発展してきた医学
国内基準の厳しい品質管理の下に私たちの手へ
日本漢方生薬製剤協会・広報委員長 中島実氏
漢方医学というと中国の医学と思われがちです。確かに発祥は中国ですが、実は日本独自に発展してきた医学です。なぜこのような名前がつけられたかというと、江戸時代、日本に西洋医学が入ってきた時に西洋医学がオランダから入ってきたため「蘭方」と呼ばれたのに対して、それまでの日本で発展してきた医学を中国の漢の時代に由来するということで「漢方」と呼ぶようになったということです。
一方、中国での伝統医学は「中医学」使われる薬は「中薬」と呼ばれていて、日本の「漢方医学」そして「漢方薬」とは似て否なるものです。中国へ旅行をしたときに土産物屋などで売られている薬は漢方薬とはいえません。日本では使用されていない生薬や天然の成分だけでなく合成薬の成分が含まれていて問題になったこともありましたので注意が必要です。
漢方薬とは「生薬」と呼ばれる植物由来の薬草などを複数組み合わせて作られたものです。原料生薬そのものの調達先は中国が83%と突出して多く、日本国内では12%程度が調達されています。中国における原料生薬の栽培・加工管理に関して疑問を持たれている方もいるかもしれませんが、日本国内と同等の厳しい基準の下管理・検査され、日本向けに輸出されています。また、漢方製剤の製造に関しても、日本国内の法令に基づき製造管理および品質管理が行われており、安全性は十分に確保されています。
近年では、国内の病院などでも年々使用率が上がってきており、2011年の調査では89%の医師が漢方薬を使っていると回答しています(日本漢方生薬製剤協会調べ)。使用する理由は「西洋薬治療で効果のなかった症例で、漢方薬治療で効果が認められた」「患者さんの要望があった」「エビデンスが学会などで報告された」というものでした。
西洋薬で治療が難しい症状などにも漢方薬が有効な場合があり、エビデンスの集積やそのメカニズムも少しずつ解明されつつあります。
しかし、漢方薬は一人ひとりの症状や体質などにより使い分けるという治療方法が難しい薬でもあります。漢方薬を試してみたいという方は、まず専門の医師や薬剤師に相談をして、ご自身の体に合った漢方薬を服用するようにしてください。