漢方薬の活躍:メタボリックシンドロームの進行を抑えるケース
公開日:2010.07.05
カテゴリー:漢方薬とは
監修:秋葉哲生先生(あきば伝統医学クリニック院長)
偏った食生活、飲酒や喫煙、運動不足など、体の負担になる生活習慣が原因で起こる病気を総称して、生活習慣病とよびます。具体的には糖尿病、高血圧、脂質異常症などがあげられます。これらの病気の2つと、肥満が一緒になっている状態が、メタボリックシンドロームです。
サイレントキラーといわれるように自覚症状がほとんどないまま病状が進行して、さまざまな合併症がドミノ倒しのように引き起こされる点が、メタボリックシンドロームの恐ろしさです。
漢方医学では、健康と病気の間の状態を「未病」という概念でとらえ、病名を特定できない段階であっても対処法があると考えます。そして生活習慣の改善とともに、漢方薬を使用して体質改善を行うことで、本格的なメタボリックシンドロームにならないように予防するケースがあります。
また、肥満症の治療に使われることもあります。女性の患者さんが、食事療法、運動療法と併せて、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)を長期服用した場合の効果についてみると、飲んでいない人に比べて基礎代謝量が高値で安定し、時間の経過と共に体重が減少し続けたというデータがあります※1。
メタボリックシンドロームは、国によって診断基準が異なるものの、その予防や進行を抑制することの重要性については、国際的にほぼ見解が一致しています。漢方薬はここでも大いに有用な可能性があり、注目されています。
※1:日置智津子『漢方と最新治療』