小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
構成生薬
- 半夏(はんげ)
- 乾姜(かんきょう)
- 甘草(かんぞう)
- 桂皮(けいひ)
- 五味子(ごみし)
- 細辛(さいしん)
- 芍薬(しゃくやく)
- 麻黄(まおう)
作用の特徴
鼻と気管支のアレルギー性炎症が迅速に治まる
花粉症などの季節性および、通年性のアレルギー性鼻炎の定番
対象となる症状
アレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支炎、中等症までの花粉症
解説
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、中国・後漢時代に医師である張仲景によって記された『傷寒論』『金匱要略(きんきようりゃく)』に収載された漢方です。小青竜湯の名は、構成生薬のひとつである「麻黄」の色(青緑)を元に、古代中国の伝説上の神獣「青竜」の名が用いられたといわれています。
小青竜湯には、体を温めて、体内の水はけをよくする効果があります。アレルギー性鼻炎には「モーニングアタック」という、朝起きたときにくしゃみや鼻水がひどくなる特徴がありますが、起床時から小青竜湯を複数回服用していくと、午前中にはつらい症状も改善すると考えられます。
花粉症で目や鼻もつらいときには越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を併用します。
厚生労働省の医薬品の再評価の根拠となる試験のひとつで、アレルギー性鼻炎に対する有効性が確認されています1)。
エビデンス情報
小青竜湯の通年性鼻アレルギーに対する効果と安全性
全国61施設の耳鼻咽喉科を受診した通年性鼻アレルギー患者220例に対して、二重盲検ランダム化比較試験を実施しました1)。2週間の薬剤投与期間ののち改善度を比較したところ、全般改善度は、小青竜湯投与群で著明改善12.9%、中等度改善31.8%、プラセボ群で著明改善4.8%、中等度改善13.3%、と投与群で有意に優れていました。また、症状別改善度は、くしゃみ発作、鼻汁、鼻閉において投与群で有意に優れていました。
アンケートに基づく体質と小青竜湯の有効性との関連は、体格では“ふつう”、“筋肉質でガッチリ”タイプ、顔色では“普通から色白”、声は“普通”、寒熱では“どちらでもない”、“暑がり”、手足は“温かい”、“どちらでもない”、汗は“かきやすい”、“どちらでもない”が有意に優れていました。
- 参考
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- 馬場駿吉ほか. 耳鼻咽喉科臨床1995; 88(3): 389-405