五苓散(ごれいさん)
公開日:2021.03.30
カテゴリー:外来でよく使われる漢方薬
監修:井齋偉矢先生(日高徳洲会病院院長/サイエンス漢方処方研究会理事長)
構成生薬
- 沢瀉(たくしゃ)
- 蒼朮(そうじゅつ)
- 猪苓(ちょれい)
- 茯苓(ぶくりょう)
- 桂皮(けいひ)
作用の特徴
即効性があるため、ほとんどは頓服で対応できる
対象となる症状
- むくみ
- 子どもの急性胃腸炎
- 二日酔い
- 乗り物酔い
- 頭痛(特に、低気圧が近づいて来たときなど気圧が関係するもの)
- めまい
解説
五苓散(ごれいさん)は、体内の水分代謝の異常を調整する代表的な漢方薬で、むくみのある状態では利尿作用を、脱水の状態だと水分を保持するという働きを持っています。最近の研究では、五苓散が、細胞内の水の取り込み口であるアクアポリン4に働きかけ、細胞内の水分量を調節していることがわかっています。科学的に作用機序が明らかとなった漢方薬のひとつでもあります。
主に、吐き気や嘔吐時、二日酔いや車酔い、飛行機降下時の頭痛や、低気圧が接近したときに起こる頭痛やめまい発作などに効果が期待できます。
特に雨の前に悪化する頭痛の9割以上に有効だったという報告もあります1)。
五苓散は、即効性が高いため、ほとんどの場合は頓服で対応でき、車酔いの場合なら乗る前の30分程度前に1包、めまいなら起きたときに2包、飛行機降下時の頭痛は、着陸前の30分程度前に2包を服用するとよいでしょう。
エビデンス情報
水分代謝調節メカニズム
五苓散は、細胞表面に存在する水チャネルであるアクアポリン、特にアクアポリン4を強く阻害することが明らかになっています2)。近年、臨床試験において、五苓散の脳浮腫に対する有効性が報告されていますが、その機序としてアクアポリン4は特に脳に多く存在するため、それを阻害し過剰な水の移動を止めることが脳浮腫の予防・治療につながっていると考えられています。