芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
構成生薬
- 甘草(かんぞう)
- 芍薬(しゃくやく)
作用の特徴
筋肉の急激な収縮に伴う痛みに有用
上半身の筋肉の炎症性の症状がある場合は、葛根湯と一緒に用いるとよい
対象となる症状
- こむら返り
- 月経痛
- 尿管結石
- ぎっくり腰
- しゃっくり
- 胃けいれん
解説
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)はその名の通り、芍薬と甘草という2種類の生薬から作られた漢方薬です。
芍薬甘草湯は、こむら返り(腓腹筋けいれん)のような、筋肉のけいれんや収縮に伴う痛みに対して用いられます。こむら返りほど強い収縮ではない、しゃっくりや胃けいれんにも有用です。症状が出たときに頓服するとよいでしょう。
痛みが強い場合は1回2包服用することも可能ですが、長期にわたり甘草が含まれる漢方薬を服用する場合は、血液中のカリウムの値を定期的に確認するなど、医師の管理のもと服用する必要があるでしょう。
芍薬甘草湯は上記のほかにも、ぎっくり腰や尿管結石による痛みにも効果を発揮します。
ぎっくり腰の場合は、芍薬甘草湯と葛根湯を頓服すると、痛みがやわらぎます。
尿管結石による痛みの場合は、芍薬甘草湯2包を頓服して痛みをやわらげた後、猪苓湯を1回1包、1日3回を3日ほど服用すると、尿管のぜん動運動が進み、石が排出されると考えられています。
※用法・用量は症状により異なります。医師・薬剤師の指示を守って服用してください
エビデンス情報
こむら返り
芍薬甘草湯は、こむら返りに対する有効性と安全性が評価されています。
週2回以上こむら返りを訴える糖尿病患者15名を対象に、筋肉の緊張状態の改善に有効とされる西洋薬・塩酸エペリゾンと芍薬甘草湯でランダム化比較試験を行ったところ、芍薬甘草湯のグループではこむら返りの回数、程度ともに塩酸エペリゾンを上回る改善が見られました1)。
ぎっくり腰(急性腰痛症)
硬膜外ブロックとNSAIDs の内服が併用されることが多い「ぎっくり腰」の治療ですが、効果が弱かったり、胃腸症状の副作用があったりするため、治療の継続を断念するケースも多いといわれています。
「ぎっくり腰」の患者70名を対象に、硬膜外ブロック、鍼治療、湿布剤での治療に加え、芍薬甘草湯を併用した場合の効果を検討したところ、自覚症状の改善に対し有効だったという報告があります2)。