厚朴(こうぼく)
基原
モクレン科(Magnoliaceae)のホウノキMagnolia obovata Thunberg,Magnolia officinalis Rehder et Wilson 又は Magnolia officinalis Rehder etWilson var. biloba Rehder et Wilson(Magnoliaceae)の樹皮
主な薬理
厚朴は、不安神経症を主訴とする柴朴湯、半夏厚朴湯、胃部疾患を主訴とする潤腸湯、胃苓湯、平胃散などに配合される生薬です。
厚朴の適応は、胸腹部の膨満感などを主とする消化器疾患と、不安神経症などを含めた広義の精神神経疾患とに大別できます。
リグナン成分は、水侵ストレス潰瘍に対する治癒効果(抗潰瘍作用)、中枢性胃液分泌抑制作用、胃粘膜保護作用、鎮吐作用、抗菌作用などの消化器疾患への作用が知られています。
また、鎮静作用、筋弛緩作用などの中枢神経疾患への作用も知られています。厚朴エキスには、抗痙攣作用の報告例もあります。
最近の研究では、マウスに対する柴朴湯、半夏厚朴湯の抗不安作用が報告されています。
この作用の活性成分はホーノキオールであり、厚朴を抜いた方剤では作用は認められず、厚朴中のホーノキオールが用量依存的に関与していることが確認されています。
活性成分
- [抗潰瘍作用]1)
- マグノロール(magnolol)
- [胃液分泌抑制作用]1)
- マグノロール(magnolol)
- [胃粘膜保護作用]1)
- マグノロール(magnolol)
- [鎮吐作用]2)
- マグノロール(magnolol),ホーノキオール(honokiol)
- [抗菌作用]3)
- マグノロール(magnolol),ホーノキオール(honokiol)
- [鎮静作用]4)
- マグノロール(magnolol),ホーノキオール(honokiol)
- [筋弛緩作用]4-6)
- マグノロール(magnolol),ホーノキオール(honokiol)
- [抗痙攣作用]7)
- 厚朴水製エキス
- [抗不安作用]8-10)
- ホーノキオール(honokiol)
引用
1) K.Watanabe,et al. :Proc.Symp.WAKAN-YAKU,14,1(1981).
2) T.Kawai,et al. :PlantaMedica,60,17(1994).
3) 高橋邦夫 編:ホノミ漢方薬学叢書 厚朴,p.72(1979).
4) K.Watanabe,et al. :PlantaMedica,49,103(1983).
5) K.Watanabe,et al. :Jpn.J.Pharmacol.,25,605(1975).
6) 工藤佳久ら:和漢医薬学会誌,1,108(1984).
7) 小川欽一ら:日本東洋医学雑誌,7,49(1957).
8) Y.Maruyama,et al. :J.Nat.Prod.,61,135(1998).
9) H.Kuribara,et al. :Phytother.Res.,13,593(1999).
10) H.Kuribara,et al. :J.Pharm. Pharmacol.,now printing in press.
11) 有本 恵子ら:Natural Medicines,53,80(1999).
12) K.Kondo,et al. :NaturalMedicines,54,61(2000).”